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1.はじめに
- 4年前の春から日常外来診療に「電子カルテ」を運用してきた。最初
は Nemacs という日本語エデイターと Lisp 言語で実現したものであったが、
初心者でも容易に扱えるシステムへと大幅な機能アップをはかるため、昨年よ
り NeXTSTEP 上に再構築を行い、同時に画像・音声などのマルチメデイア対応、
サーバ・クライアントによるネットワーク上でのデータ管理機能、診療支援機
能の強化などを追加したシステムへと発展させた。
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2.システム構成
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2.1.ハードウエア
- machine:NeXT turbo color, CPU:M68040, Memory:48MB,
Hard Disk:1.2 GB, 補助記憶装置:光磁気デイスク, 8mm Tape backup,
OS:NeXT OS 3.0J を主体に、Ethernet で接続した NeXTcube,
SPARCstation1+ などで構成されている。
(図)
当院の Loal Area Network 構成
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2.2.ソフトウエア
- NeXTSTEP と呼ばれる開発環境のもとに Objective-C により実現され
た。NeXTSTEP の提供するクラス・ライブラリーは極めて強力で、完
全なオブジェクト指向によるプログラミングが可能である。本年より
NeXT 社はハードウエア生産をやめてソフトウエア専門となり、
NEXTSTEP は IBM AT 互換機で走るようになった。
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3.NeXTSTEP による電子カルテで実現された主な機能
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3.1.カルテ閲覧とデータ検索
- ( Fig.1 )の「電子カルテ」上部には過去の来院履歴がリスト表示されて
いる。右上の「履歴」「問題」「検索」というボタンにより、「主訴」
「問題点」「検索項目」などがリストアップされる。これをクリック
すれば、下にそのページが開きスピーデイーにカルテを閲覧できる。
カルテは一日分を一ページ単位とし、一ページを越える場合は右端の
小さな矢印で上下へスクロールできる。
患者と一緒にカルテを見ながら経過説明ができることは、電子カルテ
のひとつのメリットである。
( Fig.1 )
NeXTSTEP で実現した「電子カルテ」 (GIF image:20.1KB)
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3.2.カルテへの記述
- 各項目は左端のボタンをタイトルとして、罫線で仕切られている。項
目の上下幅は内容の増減により自動的に伸縮する。項目名や項目数は
ユーザの好みで自由に設定でき、後で変更も可能である。
タイトルボタンのクリックによりメニューが popup する。メニュー
にある汎用文を選択して大まかなカルテ記述を済ませ、修正を加えれ
ばよい。下端の「略号登録」ボタンにより編集ウインドーを開き、メ
ニュー内容を編集することもできる。
カルテ記述については、熟練者向けにボタン操作やカーソル移動など
を含め、すべての操作をキーボードのみで行うこともできる。
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3.3.診療費の自動計算
- 「治療」という項目には処置内容などを記述するが、記述が終ると自
動的に診療費を計算し、結果を下の行に挿入してくれる。レセコンと
違い、見たい形のまま表現されるので、ドクターにとっては大変便利
である。診療費算出はこの内容を解析して行われる。
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3.4.マルチメデイア対応による柔軟なデータの取り扱い
- カルテには絵などを貼り付けられるが、大きくて場所をとるものは、
フォルダーに入れたり、フォルダー・アイコンの形で貼り付けることができる。
フォルダー・アイコンをクリックすれば収納されたファイルを取り
出すことができる。
妊娠歴アイコンをクリックすれば妊娠暦が開く。これは妊娠歴アプリ
ケーションで作成したデータをマウスでドラッグして、カルテにペー
ストしたものである。
NeXTSTEP は音声、画像などを扱う機能を基本的に備え、「電子カル
テ」にこの機能を取り入れることは極めて容易で、プログラミング
の上からも Macintosh よりさらに簡単かつ強力である。
マルチフォントやカラーもサポートしているので、文章の
一部に大きなフォントや強調文字を使用したり、色を付けるのも
自由である。
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3.5.定型文書の自動作成
- 下端の「文書作成」ボタンにより「診断書」「紹介状」などのメニュー
が現れる。そこから選んだ書式の中へ、氏名、年齢、本日の年月日、
その他必要事項をカルテの中から自動的に転写・表示してくれる。こ
れをさらに好きなように編集できる。「処方」ボタンも同様である。
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3.6.サーバ・クライアント方式
- NeXTSTEP では分散オブジェクト(distributed object)機能により、
数行のプログラムを書くだけで簡単にサーバ・クライアント機能を実
現できる。患者基本情報を管理する ID-Server と、毎日の来院患者
と会計情報を管理する Journal-Server があり、これらはネットワー
ク上のどこかで動いていればよい。
これにより複数の人間が同時に患者情報を利用しても、情報はサーバ
により一括管理される。
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4.考察
- マルチメデイアを扱い、サーバ・クライアント方式で、かつ柔軟なウ
インドーシステムの上に「電子カルテ」を実現するには、オブジェク
ト指向言語を標準装備したNeXTSTEP が現状では最強の環境である。
引用文献
- 電子カルテ・システム:大橋克洋,菅生紳一郎
:第9回医療情報学連合大会 論文集,1989.
- 電子カルテによる外来診療 -- 運用1年を経過して
:大橋克洋:医療情報学,10:227,1990.