本格的「電子カルテ」の実現を可能にした NEXTSTEP
ハードウエア構成とネットワーク
紙のカルテでできたことはすべてできなければならない
(図1)電子カルテの全景
「主訴」「所見」などは、ワープロのようにフリーフォーマットで入力でき、図1のように絵でもカラー写真でも自由に貼りつけることができる。いずれ、中に埋め込まれた個々のデータを特定して有機的に取り扱える「オブジェクト指向データベース」のサーバを作成したいと考えている。
法的にも、万一のデータ消失に対する安全性からも「紙のカルテとして保存」することは欠かせない。当日受診分を小さな活字でプリントアウトし、検査伝票などと同様カルテへ鎧貼りしている。
紙のカルテより使いにくくてはならない
紙のカルテにできないことができなくてはならない
受付で来院者のID番号を入力すると、来院者は図2のようなリストに追加される。
医師のコンピュータにも同様の来院者リストが表示され、現在何人の患者が何分待ちで待っているかわかる。患者名をクリックすればそのカルテが開く。
電子カルテ・システムはネットワーク上のサーバー・クライアント・システムとして実現されており、各部署の連係作業はサーバーが処理してくれる。
電子カルテの「診察終了」ボタンを押せば、瞬時に受付のリストに診療費が反映され会計を済ませることができる。
「オーダーエントリー」も、極めて自然な使い勝手で処理される。医師が「検査伝票」メニューから検査名を選択すると、検査伝票がカルテに貼り付く。同時に、ネットワーク上の検査台帳にも患者IDや年月日など記入された空伝票が転送される。
つまり医師がやるのは「検査伝票を選ぶ」「それをカルテに貼る」ことだけ。検査技師も検体について検査を行い、結果を「検査台帳」に入力するだけである。カルテを開くと「電子カルテ」はネットワーク上の「検査台帳」へ問い合わせ、台帳に結果が記入されていれば、それをカルテへ自動転記する。
電子カルテでは「複数の人間で同時に同じ診療記録を扱う」ことができる。診療申込書をもとに受付で新患情報を記入している段階で、医師は記入された部分を見ながら診療方針を立てられ、医師がカルテに記載している内容を見ながら看護婦は注射や処置などの準備ができる、医師が処方を書いた段階で薬局では調剤を開始できるなど、相互の位置関係はどんなに離れていてもネットワークに繋がってさえいれば問題ない。
もちろん、電子カルテと言えどもある程度の制約はあって、同じ項目に別々の人間が同時に違う内容を記入するようなことはできない。また、ユーザごとに読み書きできるデータを制限する必要もある。例えば「受付事務は住所氏名など基本情報は読み書きできるが、診療内容は制限範囲で読め、書き込みできない」など。
「定型文書」メニューで診断書や紹介状を選ぶと、カルテから日付や氏名、過去の検査結果などを自動的に拾いだし、あらかじめ登録してある定型文書にはめこみワンタッチで完成させてくれる。
印刷する前に、それをワープロ機能で手直しするのも自由である。NEXTSTEP では、ファイル・画面・FAX・プリンター などすべての出力は同じように扱えるので、プリンターへ出すかわりに相手の FAX へ出すなど「電子カルテで扱う情報はすべて FAX や電子メールで直送」できる。
絵のアイコンをマウスで引っ張ってきて、カルテの上で離せばカルテに絵が貼りつく。絵そのものではなくボタンを貼りつけ、このボタンを押して絵・動画や音声を再生することもできる。これはとても便利で、幾つかのファイルを入れたフォルダーやソフトウエアあるいはカルテ自体まで、ボタンとしてカルテに貼りつけられる。このボタンを押せば沢山の書類が入ったフォルダーが開いたり、他のソフトウエアが起動したり、別のカルテが開いたりする。
(図3)スケッチ・パッド
カルテに身体各部位のゴム印を押して略図を書く、ということはよくある。図3のように、登録しておいたパターンを呼び出し簡単な略図や文字を書きそえカルテへ貼りつけることができる。胃カメラやエコーの写真などを呼び出し、これに説明文字や線を書き加えカルテに貼ることもできる。
レセコンとは全く逆の発想で「医師は診療録を書くことに専念すればよい」「それを自動解析して診療費が計算される」仕組みになっている。開業医にとって「これを使うだけで電子カルテを使う意味がある」ほど有用である。
(図4)処置入力パネル
ここではメニューでなく、図4のような専用パネルが開く。パネルは左右二段に分かれており、左側の項目を選択すると、従属する項目が右側にリストアップされる。
メニューから「アセチルスピラマイシン」を選択すると、下の黒い窓に名称が表示される。自費の場合は「自費」チェック・ボックスを選択し、投与量などを入力して右側の「挿入」ボタンを押せば、そのデータが図1のように「治療」欄へ挿入される。
このように処置内容を治療欄へ入力後、漏れや間違いがないか確認する。
抜けているものがあれば再度「処置入力パネル」から追加、間違いなどあれば治療欄から削除する。確認が済んだら「処置入力パネル」右下の「集計」ボタンを押せば、治療欄の内容が解析・集計され最終行に診療費が挿入される(図1)。
ここで間違いを見つけた場合でも、間違っている箇所を修正し再度「集計」ボタンを押せば何度でも再計算できる。
おわりに