本ネットワークで共有・交換されるデータは、基本的に医療情報標準規約 HL7+MML に変換しさらにセキュリティー層で包んだ形でネットワーク上を流れる。各施設のシステム内でのデータフォーマットにはまったく制限はないので、自由な形式で取り扱って構わない。同様に各施設のシステム内のデータベース構造などもまったく自由である。
このようにシステム同士の接続部分の標準化により「それぞれのシステムは束縛されずまったく自由な形態をとれる」ことを「標準化最大のメリット」としなければならない。 病院、診療所間で交換すべきデータの内容については、本システムが充分に使いこなされるようになれば、かなり広い用途もでてくるであろうが、しばらくは「紹介状」のやりとりが最も一般的であろう。
本システムの運用時間は基本的に24時間とする。ただし、トラブルなどへの対応については、時間帯によってある程度の制約がでることはやむを得ないであろう。
初年度は予算が乏しいためシステムの二重化にあてる余裕はないが、次年度以降は二重化して冗長性を高める予定である。
なお、センターサーバ上のハードデイスクについては、初年度から RAID 方式などの冗長性を持たせた構成とし、無停電装置なども装備する。
データバックアップについては、当面テープなどの媒体によるが、ある程度の接続数を越えれば外部のデータバックアップサービスの利用も考えるべきであろう。
電子カルテ自体のトラブル、コンピュータ本体に関するトラブルなどは基本的に各施設で導入した電子カルテのベンダーが対応する問題である。対応が必要となるのは、サーバ・トラブルとネットワーク・トラブルが主となる。
一次対応は医師会事務局で対応し、以後の専門的な内容についてはサポート業者へ委託することになる。
センターサーバと各施設間の回線は、各施設のコスト負担を少なくするため 物理的には ADSL などの回線を利用することになるが、ソフト的にはこの上で SSL とVPN による情報のやりとりを行う。
その理由は、SSL による暗号化によりインターネット回線を利用しても第三者への情報の漏洩などが防げるからである。また、ユーザ単位のアクセスログ・コントロール実施により、どのユーザが何時、何処から何処へ、どの位の時間通信していたかなどが記録されるので、そのようなものを防止する効果がある。
またこれに加えて、通信ラインの両端は VPN(Virual Private Network)で結合される。これはトンネリングなどとも呼ばれるように情報経路が専用トンネル状になるため、外部から進入したり外部へ漏れたりすることがない。
これを実現するため、データをSSLで暗号化したり元のデータへ戻したり、VPNで接続したりという機能を行うブラックボックス化された専用装置を提供すれば、各施設で特別な設定が不要になる。
このような仕組みで、メンテやクラッカーなどから隔離した状態での通信経路を確保することができる。
一旦発生すると結構やっかいなものが、ネットワークトラブルである。施設内のLAN(Local Area Network)で起こるもの、施設間のWAN(Wide Area Network)で起こるものがある。本格的トラブルは専門業者に委託せざるを得ないが、日常起こり得るのが回線の混雑による回線速度の著しい低下や接続不全である。
特に ASP型を利用する施設では、すべての機能を施設外であるサーバに依存するため、回線が機能しなくなるとまったく仕事にならなくなる。したがって ASP型などネットワークに依存する割合の多いケースでは、回線の二重化をすることが勧められる。すなわち通常使う回線が ADSL や光ケーブルであった場合、予備として別の種類の回線(たとえば ISDN や一般電話回線など)を用意しておくと安心であろう。ただし、サーバ自体のトラブルの場合は手の打ちようがない。
将来の予測できない変化にも対応できる柔軟なシステムでなければならない。そのひとつとして、いろいろな機能を極力独立したオブジェクトとして独立して開発・運用できるものとし、それらを標準的な規約で相互接続し、全体として有機的に機能するような仕組みとする。これにより拡張や更新が必要となっても、全部のハードやソフトの入れ替えをする必要性は最小限に抑えられる。
例えば、データセンターは当面外部委託にならざるを得ないが、いずれ予算の工面のついた段階で自前のものを開発して自力運用するなどである。
4.7.1. ユーザ数やデータ量の増加に対応するものデータベースや通信回線の速度・本数などの増設と、処理速度のレベルアップなどがある。
4.7.2. 提供する機能自体のレベルアップや新たな機能の追加これについては、あらたな利用料の設定、あるいはソフトやハードの開発・購入費用が必要となる。