4. システムモデルの機能・運用など
 4.1. 機能要求

 4.1.1. 診療情報化システム
 4.1.1.1. 医療情報標準交換規約の採用

  電文情報はHL7(Ver.2.4以降)、医療情報記述XMLはMML(Ver.2.3またはVer.3以降)を採用する。
 現状での選択肢は、「3.1.2. 医療情報交換規約の標準化」の項で挙げた。この中で国際的な広い見地から、また将来性なども加味して選択すれば、実績・実用面からHL7とMMLの組み合わせしかない。
 特に医事会計システムについてはわが国独特のもので、HL7 など国際的なものは適合せず、すでに実装例のある標準規約は MML のモジュールである CLAIM しか存在しないことも決定的な理由となる。日本医師会の医事会計システム ORCA で CLAIM が採用されているのも同じ理由による。
 CLAIM は MML の「医事会計システム用モジュール」のひとつである。  それ以外に本プロジェクトに適合する医事会計システム用の標準規約実装例は見られない。

 4.1.1.2. データセンターの構築

  データセンターについては、「3.4. 開発委託方式」の項に述べたように少なくとも初年度は東京都医師会で構築する予算も時間もまったくない。従って既存のデータセンターに利用料を支払って外部委託の形になる。
  ただし、都内各診療所など医療機関の接続先はすべて東京都医師会センターである。東京都医師会センターの役割は、外部委託するデータセンターへ通信を行うための Proxy (代理サーバ)である。
  なお、本データセンターは、別添資料の準拠すべき法令に記載したものを含む関連法令・通知に則って運用されることが必要である。

 4.1.1.3. 既存の電子カルテとの相互接続

  東京都医師会センターならびに、外部委託先のデータセンターは HL7+MML を解釈する機能を有し、この標準交換規約により相互接続する。
 電子カルテだけではなく、医事会計システムについても ASP方式のものなどが現れれば MML+CLAIM を用いてどの電子カルテからも利用可能となる。

 4.1.1.4. 初心者向けにも使えるASP型電子カルテ機能の提供

  「2.3. 補助金対象システムのイメージ」で述べた ASP型電子カルテなどで提供される。

 4.1.1.5. 受診者への情報開示方法

  診療所が受診者へ提供する医療情報をその受診者の閲覧を指定してセンターサーバへ送っておけば、その情報はその受診者がホームページを利用して閲覧することができるようになる。セキュリティーの上から当然受診者本人であることの認証を行ってからでなければ閲覧できず、通信回線上も VPN などの方法で第三者から守られる。
 前述のように、受診者はここで公開された自分のページに対して、コメントや質問を記入できる機能をつける。

 なお、ここで医療機関から公開される医療内容は、受診者にとって分かりやすく整理された内容であるべきである。生データをそのまま表示しても、理解困難であったり、まったく逆の意味に理解されたりすることもあるので、原則として「誰にもわかりやすい噛み砕いた内容」を表示できるようにする必要があろう。
 例えば、自動車を整備工場に出してもレポートが部品番号の羅列では整備内容がわからない。「ブレーキライニングが磨耗していたので交換しました」とか「ミッションのオイルが減っていたので追加しました」とか、わかりやすい表現が求められるのとまったく同じである。

 4.1.2. 医事会計システム

  医事会計システムについては各施設で導入する電子カルテそれぞれの事情によるが、通常は同じ施設内でのサーバ/クライアント形式で電子カルテと接続、あるいは電子カルテに内蔵されたシステムとなろう。また「4.1.1. 診療情報化システム」で述べたように、医事会計システムについても ASP型のサービスが現れれば、MML+CLAIM で接続することによりどの電子カルテからも利用可能となる。

 ただし、ASP型サービスは簡便な反面、前述したように通信回線のトラブルやサーバ自体のトラブルによるダウンなどが生じうるので、確実性をとるなら自施設内に医事会計システムを置く方が安心である。
 もし保険請求事務の完全オンライン化が実現されても、接続部分が CLAIM で標準化されていれば容易に対応できる。