平成15年度 東京都福祉保健局によるモデル事業


  • 東京都福祉保健局による本事業の目的

    • 事業目的

      共通のソフトを複数の医療機関が利用する 共同利用(ASP)型電子カルテ システムの診療所への導入に関し、補助金を交付することによって、患者に対する診療情報の開示促進と地域医療連携の推進を図り、もって患者中心の医療の実現に資する。

    • 事業内容

      モデル地区(二次医療圏単位)を設定して、当該モデル地区内に共同利用型電子カルテ システムを含む診療情報の電子ネットワークを構築し、患者及び医療機関の利用に供することにより、診療情報の開示を促進し、地域医療連携を推進する。

    東京都の説明では「診療所へ電子カルテ普及を妨げるもののひとつは、 機器やソフトの扱いなどにある。 共同利用型電子カルテを利用すれば、 センター側ですべて管理するのでその心配もなく、費用も安い」 ということである。

  • 補助対象モデル地区(二次保健医療圏の区分けによる)

    平成15年度は区中央部保健医療圏で以下の各医師会

    千代田、中央、神田、下谷、浅草、港、文京、小石川、日本橋
    平成16年度から南多摩保健医療圏がこれに追加される
    八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市

  • 補助金の交付条件

    指定したモデル地区に該当し電子カルテを使用する診療所に適用され、 以下のように交付される。

    1. 共同利用型電子カルテ を利用する場合
      電子カルテ利用料+ほっとライン接続料 の半額以内を補助
    2. それ以外の電子カルテ
      ほっとライン接続料 の半額を補助
    3. 補助金の支給は年度末となる

    共同利用型電子カルテとして、 現状ではセコムの提供する 「ユビキタス電子カルテ」しか補助条件に合致しない (セコムの電子カルテはよく出来てはいるが、 事実上一企業の占有となるのは好ましくない。 他の共同利用型電子カルテも対応次第、参入を促進する)。

  • 利用者負担の概算

    以下は現在把握できる月額概算(詳細は セコム医療システム(株) にお問い合わせください)。

    1. セコム電子カルテ利用料:8−12万(レセプト枚数や施設規模による)

      この半額について補助金が交付される(ただし年額36万以内)。
      レセプト作成出力サービスも含まれる(ORCA対応ではない)。

    2. セコム光専用回線のプロバイダー料金:35,000円

      セキュリティーと迅速な操作性(レスポンス・タイム)確保のため。
      Internet(ホームページやメール)はこの回線で利用できる。

    3. NTT光回線使用料:4,500円程度

      光回線の物理的部分について NTT へ使用料支払いが必要。

    4. 都医サーバ接続料

      月額1万円(うち半額補助)。

    以上の合計が共同利用型電子カルテの利用料概算月額となる。 この他に光回線設置のための工事費や、 Windows の動くパソコンは利用者が用意する (Windows95 など余り古いものでは機能しない)。

  • HOT project との関わりと経緯

    東京都から最初の提示では、東京都医師会のシステム基盤を構築する インフラ整備にも補助金の効果が及ぶという説明だったが、 最終的には上記のかなり狭い条件に合致した場合の、 共同利用型電子カルテ の利用料の半額(しかも1診療所で年額最大36万円以内) のみしか補助されないことになった。

    正確には補助金の支給条件は以下の通りとなる。
    1. 月額10万円以内
    2. 年額72万円以内
    のうち低い方の額の半額が支給される (ただし実費用を超えることはない)。
    従って最大年額36万円(月にして3万円)が支給されることになるが、 例えば事業年度の1月から利用した場合は3ヶ月なので、 月額3万円ではなく月額5万円の範囲内で支給されることになる。

    東京都医師会では 電子カルテの普及をはかり標記目的を達成 するには

    • 特定の電子カルテに限定すべきではない
    • 都内全域を対象とすべき
    • システムの普及と推進にはインフラ基盤整備への補助こそが重要
    • 現状の補助条件は事実上特定企業へ補助するためでしかない

    を繰り返し主張したが 「予算がこのような条件でとられたため変更不可」との回答。


文責:東京都医師会理事 大橋克洋