どう実現するか



 健康ノート実現には、いくつかクリアすべき問題点があります。 実装上の技術的問題は「技術の面から」の項で述べるとして、 ここでは主に社会的な面から考えてみます。

  1. その目的は何のためなのか

    • 個人が自分のために利用することを基本とする
    • 生涯にわたる医療・健康情報をまとまった記録として保持
    • その記録を参考に医療などを適切に受けられるようにする

  2. 蓄積されたデータの利用はどう行われるのか

    • 銀行の通帳と同様コンピュータと Web で読み書きできる
    • 自分の生涯記録として健康維持・増進へ貢献
    • 予防接種記録や母子手帳など後年役立つ記録の保持
    • 携帯電話でも要約を閲覧したり簡単な入力ができる
    • 医療機関受診時、記録の一部を携帯で主治医へ見せられる
    • 個々の情報の見せる見せないを携帯画面で選別し、 その結果を主治医の電子カルテへ転送できる
    • そのデータを元に健康に関するアドバイスなどのサービス (匿名でサービスを受けることもできる)

  3. 個人情報を扱うためセキュリティーの確保

    • すでに実用化されたモデルとしては Web 上の預金通帳がある
    • 多くの人にとって自分の健康情報より預金通帳のセキュリティーの方が重要
    • 従って少なくとも預金通帳レベルのセキュリティー確保は必要

  4. 蓄積される情報の管理は誰がどうやるのか

    • コンテンツに関する管理責任は、あくまでも本人個人
    • 貸倉庫では倉庫番としての役目が機械的に行われ、 単にコンテンツの入ったコンテナーを預かるだけ。 コンテナーは管理しても、その内容には一切関知しない
    • 仮に個人がコンテンツ管理を誰かに依頼したとしても、 それは依頼した本人の責任に基づく

  5. 運用コストを誰がどう負担するのか

     基本的には「受益者負担であるべき」。 しかし実際には、直接の費用負担は難しいでしょう。 そこでまず考えられる方法として、、

    • 基本的には受益者負担であるべき
    • このようなシステムの構築・維持には非常にコストがかかるはず。 特にセキュリティー確保に要するコストは本体より大きくなりかねない
    • したがって直接の受益者負担は極めて困難
    • 行政は負担しないだろう
    • 企業でも利益を上げられる可能性は少ない。 銀行のように預かったもので運用益を上げられればよいが、 個人情報保護法に過剰反応する現代で、 個人から預かる情報の2次利用は困難と思われる
    • これを了承した個人からだけ、 それによる優遇策を設け預かるという方法は考えられる
    • 企業で運用益を上げられる可能性があるとすれば、 ロング・テールによる間接利益か
    • これは間接的な受益者負担と言えなくもない
    • そう考えていたら、これが早くも現実化

       2007年10月4日 Microsoft は、医療記録のすべてを一カ所から確認できる 「Health Vault」と呼ばれる構想を発表したとの 記事 あり。

       また Google も同様のサービスを考えている模様。 Google が始めればシンプルで使い勝手のよいものになるはずなので、 急速に普及が進む可能性がある。

    その他に、以下のような方法も考えられる。

    • パソコン・ソフトとして個人が自分の生涯データを管理
    • 従来はこれがもっとも素直な考え方で、まさに受益者負担 (そう考えていたら、MicroSoft がまさにこの方法を始めるようだ)
    • 健康ノート普及の初期にはこれが実際的かも知れない
    • 医療機関その他とのデータのやりとりを考慮した実装にしておけば、 将来のネットワーク・サーバでの利用にもスムースに移行できる (具体的には実装に関する項を参照)。

    最終的には、両者の併用がもっとも実際的か

    • データをサーバに置くことに抵抗のある人は、 自分のパソコン上で管理
    • バックアップだけをサーバに置く方法もある
    • 必要を感じれば途中からサーバ型へ移行も可能
    • 実装の項で述べるように、 データをコンテナーに入れて管理すれば、 このように柔軟な運用ができる

     そこで実装の項で述べる「コンテナーによる管理」を、 なるべくシンプルな仕組みで普及させることがポイント

  6. 医療はどう対応していけばよいか

    • 健康ノートは医療機関のデータ純度より甘いはず
    • わかりやすいデータとして健康ノートに書き込むには、 どうしてもそうなりやすい面もある
    • 医療機関から見れば あくまでも参考データとなるが、 医療をより適切に行うため役立つことは多い
    • たとえば「お薬手帳」「アレルギーの履歴」などは、 非常に有効であろう
    • 主治医が健康ノートに書き込むには手間がかかるが、 電子カルテなどが対応すれば かなり楽になる
    • 本人にとって「必要なデータ」を「コンパクト」に 「分かりやすく」転記してあげることが必要



2007-09-24 09:48:38 +0900